物語少しく後へ戻る

 物語少しく後へ戻る。 飛騨の萩村は街道筋における、相当に賑やかな駅《うまやじ》であって、旅籠《はたご》屋などにもよいものがあった。 宮川茅野雄が難を受け、森林の中へ姿を没した、ちょうどその日のことであったが、この萩村の四挺の駕籠が、旅人を乗せて入り込んで来た。 夕暮のことであったので、旅籠屋...

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笑われて見れば気持が悪い

 で、茅野雄は突嗟の間に、手綱をしぼると馬を廻し、一散に後へ引っ返した。 その行く手には馬に乗った、丹生川平の郷民達が、得物を揮って群がっていたが、駈けて来る茅野雄の必死の姿に、気を呑まれたか道をひらいた。で、茅野雄は駆け抜けた。 と、これはどうしたのであろう、ドッと背後から大勢の者の、笑う声が...

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驚き周章《あわて》た大勢の声

 驚き周章《あわて》た大勢の声が、ひとしきり背後で聞こえたかと思うと、すぐに弦音《つるおと》が高く響いた。 丹生川平の郷民達が、茅野雄を射って取ろうとして、半弓を数人で射かけたのである。 しかし彼らは周章ていた。で、狙いが狂ったものと見えて、走って行く茅野雄の左右と頭上を、空しく征矢《そや》は貫...

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