他の旅籠屋へつけようとする

 ――他の旅籠屋へつけようとする。と、どうだろう、碩寿翁自身が、駕籠の中から云うではないか。「これこれ駕籠屋どうしたものだ。先へ行く駕籠の入った旅籠へ、すぐこの駕籠をつけてくれ」 同じ旅籠屋へ泊まるのであった。 こうして道中をしているうちに、長崎へは行かずに飛騨の山中の、萩村の柏屋へ来たのであ...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 03:39 pm  

真に美しい鯖《さば》色の光

 取り出したのは小箱であったが、真に美しい鯖《さば》色の光が、小箱の中から射るように射して、部屋を瞬間に輝やかした。 小箱の中を覗いている、老武士の顔の嬉しそうなことは! この老武士は何者であろう? 他ならぬ松平|碩寿翁《せきじゅおう》であった。 それにしても何のためにこのような所へ、碩寿翁...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 03:38 pm  

老武士は?

「お泊まりなさいまし」「柏屋でございます」「へいへいこれはお早いお着きで」――などと云っていた出女の声も、封ぜられたようになくなって、萩村の駅は寂静《ひっそり》となった。 こうして夜が次第に更け、柏屋でも門へ閂《かんぬき》を差した。客も家の者も寝《しん》についたらしい。 で、何事もなさそうであっ...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 03:37 pm  

T: Y: ALL: Online:
Created in 0.0303 sec.

http://barbaramacon.com/